「23年度卒業式」 卒業する君たちへ 

2023年 卒業式
「卒業する君たちへ」  校長大野より送られた言葉をご紹介します。    



 


2023年度 和光鶴川小学校 卒業式

卒業する君たちへ

                   和光鶴川小学校 校長 大野裕一

6年生の皆さん、ご家族の皆さん、ご卒業おめでとうございます。君たち6年生が入学した年、私は6年生の担任でした。初めての場所で不安そうにしていた君たち、まだ小さかった君たち、6年生に手を引かれて入場した6年前の入学式。この6年間で体も心も大きく成長しました。この前行われた「6年生と遊ぶ会」で1年生にやさしく声をかけ一緒に遊ぶ姿はとても頼もしく、この6年間の成長を感じることができました。君たちが2年生になった時、私は1年生の担任でした。1年生が心細くなって泣いているとき、やさしく声をかけてくれたのは君たちでした。新型コロナウイルスの影響で2年生の3月から休校、3年生は6月からスタートでした。以降、様々な教育活動が制限・縮小された中で行わざるを得ませんでした。できることを探りながらの3年間でしたが、できないことや制限がある中で、悔しい思いや残念な思いをしたことも多かったのではないでしょうか。でも逆に苦しい中だからこそ、気がついた大切なこと、新たに考えられたことも、たくさんあったのではないでしょうか。今年、運動会は4年ぶりにフルサイズでした。初めてやる騎馬戦、応援など、この3年間のブランクで6年生とは言え、はじめての取り組みにとまどうこと、心配なことも多かったと思います。それでもリーダー学年として下級生をよく引っ張って素敵な運動会を創ってくれました。この一年、最上級生・6年生として君たちは素敵な姿をいろんな場面で見せてくれました。中でも印象深いのは沖縄学習旅行、3日目の晩、学級集会の中でそれぞれが語ったことばが、心に残ります。全員が沖縄で感じた感想を述べました。1組のたいしくんは「沖縄に来てから考えることが増えていった。今ある生活が幸せなんだとかみしめたい」と話していました。その後、「戦争する意味ってあるのかな?」「戦争して何か得することってあるの?」と疑問が広がっていきました。2組ではTくんが「実際に学んできて平和にしていくためには、どうすればいい?」とみんなに問います。Mさんは「昔こういうことがあったよ。戦争のことを忘れなければ、やりたい人はいないと思う」と応えていました。「自分が当時の日本軍の最高責任者だったら、なんて命令だしていた?」という問題提起もありました。どちらのクラスも、予定していた時間を超えて話し合いが続いていました。簡単には答えの出ない疑問を真剣に考え続ける姿は素敵でした。その時代に自分がいたら、自分だったらと想像力を働かせながら考える君たちの姿がありました。2月に君たちが演じた劇の会も印象に残りました。両クラスとも素晴らしい劇でした。1組は「鬼平あらわる」でした。突然、時代劇の中にいた鬼平がタイムスリップして現代に表れ悪い人を成敗するという不思議でおもしろいお話でした。江戸時代の常識と現代の常識のずれを見事に演じ笑わせてくれました。まこと役、Rさんのセリフで「いつかは鬼平みたいに、悪いことは悪いって、ちゃんと言えるようになりたい。そう、思い始めた・・・・」という言葉があります。おかしいことをおかしいというのは勇気のいることです。それが少数派だったり、自分ひとりであれば、なおさらです。でも黙っていることで後悔することって、たくさんあります。みなさんは、どう感じたでしょう?2組は「チャイルドレスキュー」でした。「死という言葉は、子どもには似合わない。だから助けに行く。時間と空間を超えて。タイムスリップ」何度も繰り返された印象的な場面でしたね。劇中、こんなセリフがあります。えんさんが「自由って?」と聞きます。それに、Kくんが「好きなことができるってこと?」とさらに聞きます。そこへ、Tくんが突然登場し「なにもしないことだよ」と応えます。自由って?6年間鶴小で学んだみなさんは何て応えるのでしょう?君たちが考え、持った疑問は、そのまま私たち大人への疑問・問題提起でもあります。ウクライナ・ロシアやパレスチナ・イスラエルの戦争、気候変動・温暖化の問題、君たちが生きていく世界にはそう簡単に答えが出ない問題がたくさんあります。その時の基準になるのは、みんなが経験してきた対話です。多様な人の意見に耳を傾けること、その人の立場に立って想像すること、自分の頭で考え思いを相手に伝えること、どんな問題も暴力や一方的な考えの押し付けで物事を解決しないこと、AかBかではない新たなCを生み出すこと、それが君たち6年生の実践してきたことであり、たくさんの経験や失敗から身に着けてきた力だと思います。ぜひこれからも大事にしていってください。6年生のご家族の皆さん、あらためてご卒業おめでとうございます。今日まで学校を信頼しお子さんの成長を願いながら様々な協力をしていただいたこと感謝しております。ありがとうございます。コロナ禍での3年間は忸怩たる思いもあったのではないかと思います。運動会や秋まつりなどの行事、日常の教育活動など、学校を信頼していただきご協力いただいたこと、本当にありがとうございました。子ども達の成長を願い、見守っていきたいという思いはここにいる教職員みんなの気持ちです。親御さんたちにとっても和光鶴川小学校は“ふるさと”のような学校だと思っております。今後とも、和光鶴川小学校を見守ってくだされば幸いです。さて6年生の皆さん。今日、みなさんは鶴小を卒業します。迷ったり、不安になったり、壁にぶつかったりすることもあるでしょう。もちろんうれしいこと、楽しかったこと、何もなくても、いつでも鶴小に足を運んでください。鶴小はみんなのふるさとです。それぞれ道は違うかもしれませんが、ここで学んだこと、経験したことを“糧”としながら自分の新しい道を進んでいってください。自分らしく!卒業おめでとう!


2024年3月18日 和光鶴川小学校 校長 大野裕一

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