教師も子どもも、イキイキした授業が展開されている。

先月27日、第28回公開研究会を開きました。北海道から愛知県まで150名をこえる参加がありました。今回、公立小学校の先生たちにたくさん参加してもらえたので、現場の取り組みや実情も語られ、論議を深めることができました。本当にありがとうございました。

コロナを通して学校が問われ、また、2020年からはじまった新学習指導要領により、今、「授業づくり」や「学校のあり方」が問われています。

“学ぶ楽しさ”を子どもが感じ、”共に学ぶ喜び”を教師がもてるために、私たちは「子どもも教師もワクワクする授業づくり」を研究テーマに、この1年校内研究を行ってきました。

授業公開 2年2組生活「たんじょう」

私は基調報告の中で、鶴小の運動会後の親や子どもの感想を紹介し、子どもたちが主体となってつくる行事が、人の心を動かし、人のつながり強くし、学校づくりにかかわるみんなでその感動を共有できたことを話しました。1つの行事づくりの中に、親の願い、子どもの思い、そして教職員の真剣な論議がありました。都内の学校では今年度も9割の学校で行事などの特別活動は削減されたままになっています。教師の多忙化を解消するため、と言われていますが、子どもの発達を保障するために何が必要か、論議を重ねる必要を感じます。

また、授業づくりでは、“子どもの学びの要求”から授業をつくる様子を話しました。この日の公開授業と授業検討会、そして午後の分科会で具体的に交流され、鶴小の子どもたちの、仲間とつながり、失敗もありながら、自分たちで学びをつくっていく姿に、たくさんの共感の声が寄せられました。今、”早く・正確に、答えまでより道のない授業”が展開されていると聞きます。私たちは”問いから答えまで遠ければ遠いほど、子どもの学びになる”と考えています。子どもを生活の主体者に育てるためには、子どもの学ぶ道筋を大切にしなければなりません。実際にやってみたり、人と出会ったり、みんなで論議したり、体験的に学ぶ場を保障する必要を感じます。

授業検討 1年2組「くり下がりのひき算」

公開研究会に寄せられた感想を紹介します。

●基調報告を聴いていて、(自分の職場では)コロナを経て「去年は…。以前は…」と今までと同様に行事などを進めたり、廃止、統合する検討ばかりで、話し合って見直すということが、行われていないと実感しました。特に1月~年度末で、来年度の教育課程や日程を話し合う会議では、「どうせ移動するから」「考えても変わらない」と教員自身があきらめてしまっている先生が多いように感じている。まずは、自分ごととしてとらえ、未来を担う子どものために何が必要か、発信することが大切だと改めて考えました。貴重な機会をありがとうございました。(栃木・公立小教員)

●この研究会に参加させていただき、「私の授業は自分も子どももワクワクしているだろうか…」と問うきっかけとなりました。先生方の実践報告はよい刺激となりました。ありがとうございました。(神奈川・私学小学校教員)

●「教育とは何か「「学ぶことは何か」を常に問い直しながら学び続けていきたいと感じました。公立の状況はもっとひどい状況で、先生たちもがんじからめになっていて、疑問や批判をしなくなりつつある先生が増えています。公立もつながりながら、授業づくりをともに考えていければと思いました。(相模原・公立小教員)

教師も子どもも、イキイキした授業が展開されている。そしてそれが普段からの教職員集団が、教材研究に取り組まれている成果だと思います。和光鶴川小のような独自な研究で、子どもがワクワクするような授業を、どの学校でも展開することができれば、10万人を超えるような不登校の子どもは、出ないと思います。(無記名)

●奈良教大附小の話には、思わず身を乗り出してしまいました。子どもは、「学んでいないことは仮にあっても、ここでの学びこそが楽しかった。」と感じている。それをもとに考えなければと思いました。「できない、やってない」ことに目を向けすぎる教育から、何を大切にしていくか尊重する教育へ。(私たちの)実践を通して、“足を引っ張っている教育論議”を変えていかなければと強く思います。(千葉・公立小教員)

●(第1分科会:斉藤先生 2年生算数「かけ算」報告)読みながらワクワクが伝わってくるレポートだった。学習の大変な子も含めて、みんなが「あーこれがかけ算ね」ってわかる工夫がたくさんあったなと思った。具体物がたくさんあったことももちろんだけれど、個人的にはあれ馬くんへのお手紙のため?あれ馬くんがわからないよ~って言ってくれるところがすごく便利なキャラクターだと思った。(前に、私が分からない設定で「教えてくれる?」って言ったら「先生本当は分かってるくせに」って言われた)「1あたりの数」に気づくことで、世界にはたくさんかけ算があるって知って、かけ算の学習がぐっと楽しくなるんだとわかりました。(東京・私立小教員)

●(第2分科会:池田先生 6年生算数「単位あたり量」報告)お話を聞いていて授業のワクワクが感じられた。大学生ではあるが「この授業を受けたい!」と本気で思った。実践報告やその中の様々なお話から、授業自体のワクワクも感じられたし、教員そして子どもたちのワクワクが何よりも感じられたのが良かった。“算数=わからない”という、世の中のイメージが変化していけば望ましいと考えた。具体と抽象をバランスよく取り入れた授業づくりを大学での学びなどから模索していきたいと思った。(大学生)

●(第3分科会:平野先生 3年総合「カラスをおえ!」・中村和先生 5年総合「食」報告)初めての担任、初めての総合学習の取り組みで、教師の提案で引っ張りながら、結局、子どもたちはカラスを探究する視点をしっかり持ち、教師を乗り越えていく様子がよく伝わってきました。集まってくる情報カードは、思った以上に子どもたち同士を刺激し合い、カラス目線を持つに至るのだということも驚きでした。報告から先生自身のワクワク感が伝わってきました。和菓子・だんごは、最近の子どもたちの生活の中では、少し遠いのではないかと思いましたが、「本物」を追求する、その「技」を追求するということがモチベーションになるのだと思いました。やはりその道のプロである職人さんとの出会いは大きいですね。おいしいものができたら終わりではなく、その先、食をめぐる課題を意識して、自分と引きつけて考えているのがすごいと思います。(退職教員)

これから鶴小の先生たちは、総括を行い、次の研究課題を話し合います。参加していただいた方たちの声は本当にありがたいです。子どもたちの思い、そして教師や親の願いが受けとめられる学校づくりをこれからも一緒に考えていければと思います。ありがとうございました。

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