卒業する君たちへ(卒業式大野校長からの送る言葉)

 

2022年度 和光鶴川小学校 卒業式

卒業する君たちへ

                   和光鶴川小学校 校長 大野裕一

6年生の皆さん、ご家族の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

卒業式に全校児童が出席し、6年生の卒業を祝うことができるのは4年ぶりになります。

「今年は卒業式に出席できるようにしてね」4年生が年明け早々に訴えた言葉ですが、その希望をかなえることができて本当に良かったと思います。

この3年間、新型コロナウイルスの影響で様々な教育活動が制限・縮小された中で行わざるを得ませんでした。マスクをすることが当たり前のような生活が続き、はじめは違和感を感じていましたが、いつの間にか慣れてしまったことに怖さも感じました。できることを探りながらの3年間でしたが、できないこと、制限があるからこそ、気がついた大切なこと、新たに考えられたことも、たくさんあったのではないでしょうか。

運動会での応援は、みんなで声が出せないために、リーダー学年の君たちが、旗への寄せ書き、折り紙の飾りを下級生の教室に行って教えていました。声を出すのではなく手拍子で気持ちを合わせながら応援するのも新しい取り組みでした。できないから、やらないではなく、何がやれるかを君たち自身が探ってきた、その姿に先生たちも何とかしたい、と突き動かされ、できることを追求してきた、そんな3年間でした。クラスや学年で話し合い、対話しながら、できる可能性を探ってきたのだと思います。

この一年、最上級生・6年生として君たちは素敵な姿をいろんな場面で見せてくれました。中でも印象深いのは沖縄学習旅行、3日目の晩、学級集会の中でそれぞれが語ったことばが、心に残ります。全員が沖縄で感じた感想を述べた後に、1組では、Mさんが「伊江島で話をしてくれた謝花さんの『平和をつくるのは学習だ』という言葉の意味を話し合いたい」と問題提起します。

そもそも平和とは何なのか?学習とは、どんな学習なのか?疑問が疑問をよび話し合いが深まっていきました。2組ではTくんが「自分たちが軍国教育を受けていたら、ぼくは何だかそれが正しいって思いこんじゃう気がして」と率直に自分の思いを語っていました。その時代に自分がいたら、自分だったらと想像力を働かせながら考える君たちの姿がありました。

 コロナの問題、ウクライナとロシアの問題もそうですが、世の中にはそう簡単に答えが出ない問題がたくさんあります。大人でさえ、どうしたらいいのか、何が正解なのか、わからず右往左往してしまうことがたくさんあります。その時の基準になるのは、みんなが経験してきた対話です。

多様な意見に耳を傾け、自分の考えや思いを伝える、どんな問題も暴力や一方的な考えの押し付けで物事を解決しない、ABかではない新たなCを生み出す力、それが君たち6年生の実践してきたことであり、身に着けてきた力だと思います。戦争をはじめ環境、差別など、多くの問題を解決していく考えであり姿勢だと思います。

2月に君たちが演じた劇の会も印象に残りました。両クラスとも素晴らしい劇でした。本番までには苦労も多かったと想像できます。

2組は「白雪姫?」でした。一人一人の個性的な演技が光り、たくさん笑わせてもらいました。最後にKくんが「あ~あ、ありのままのぼくでいられる時間ってあるのかなあ。ありのままをわかってくれる人っているのかなあ。」とつぶやきます。ありのままの自分でいられることの大事さ、そんな世の中になってほしいという願いを感じました。大丈夫です。鶴小のDNAを受け継いでいるみなさんなら、きっと自分らしく進むことでしょう。でも“ありのままの自分”って、どんな自分なのでしょうね。これも答えが簡単に見つからない問題かもしれませんね。

1組は「同窓会〇〇〇」でした。20年後の同窓会、とても楽しそうでしたね。あの劇の中には本当に自分がなってみたい未来の職業があったと聞きました。20年後、皆さんはどんな大人になっているのでしょう。どんな世の中になっているのでしょう。ごっこではなく、本当に同窓会を行えるといいですね。20年と言わず数年後にできるといいですね。劇の後半、Hさんの「つまり、今日の積み上げが20年先ということです。」とはっきり言います。この言葉にYさんが「そうです!今日の積み上げが二〇年先!・・・みなさん今日を一生懸命生きましょう。」と応えます。一生懸命生きましょう、ぜひそうしていってほしいと願っています。

6年生のご家族の皆さん、あらためてご卒業おめでとうございます。今日まで学校を信頼しお子さんの成長を願いながら様々な協力をしていただいたこと感謝しております。コロナ禍で特に後半の3年間は忸怩たる思いもあったのではないかと思いますが、昨年11月に行われた開校30周年のイベント、運動会や秋まつりなどの行事、日常の教育活動など、学校を信頼していただきご協力いただいたこと、本当にありがとうございました。親御さんたちにとっても和光鶴川小学校は“ふるさと”のような学校だと思っております。今後とも、和光鶴川小学校を見守ってくだされば幸いです。

さて6年生の皆さん。今日、みなさんは鶴小を卒業します。道に迷ったり、不安になったり、壁にぶつかったりすることもあるでしょう。もちろんうれしいこと、楽しかったこと、何もなくても、いつでも鶴小に足を運んでください。鶴小はみんなのふるさとです。ここで学んだこと、経験したことを“糧”としながら自分の新しい道を進んでいってください。自分らしく!卒業おめでとう!

 

 

2023317日 和光鶴川小学校 校長 大野裕一

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